相続人申告登記

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相続人申告登記

目次

1.相続人申告登記とは

2.相続登記とは違うのか

3.相続人申告登記の特徴

4.提出が必要な書類

5.必要書類

6.相続人申告登記の申出後の氏名・住所変更

1.相続人申告登記とは

相続人申告登記とは

民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)により、令和6年4月1日より、相続登記の申請が義務化されました。相続登記の義務化については、こちらをご参照ください。相続開始を知ったときから3年以内に相続登記を申請しなければなりませんが、それが難しい場合に、簡易に相続登記の申請義務を履行することができるようにする仕組みとして、新たに設けられたのが「相続人申告登記」です。

2.相続登記とは違うのか

相続登記とは違うの?

相続人申告登記は、相続登記とは異なります。遺産分割に基づく相続等の申請義務を履行したことにはなりませんし、また、不動産についての権利関係を公示するものではないため、相続した不動産を売却したり、担保権の設定をしたりする必要がある場合には、その前提として、相続登記の申請をする必要があります。

3.相続人申告登記の特徴

手続の概要

  • 必要な戸籍謄本等を添付の上、登記簿に所有者として登記されている者の相続人であること等を期限内に(3年以内)に登記官(管轄法務局)に申し出ることで、相続登記の義務を果たすことができます。
  • 登記官は、所要の審査をしたうえで、申出をした相続人の氏名・住所等を職権で登記に付記します。

相続人申告登記の特徴

  • 特定の相続人が単独で申し出ることができる(他の相続人の分も含めた代理申請も可)
  • 申出手続(オンラインも可)において、押印や電子署名は不要
  • 専用のソフトウェアを利用することなく、Webブラウザ上で手続が可能(かんたん登記申請を利用することができます)
  • 法定相続人の範囲・法定相続分の割合の確定が不要なので、提出書類が少ない
  • 登録免許税が非課税

4.提出が必要な書類

基本的な提出書類

  1. 申出書(「かんたん登記申請」で作成・送信することもできます)
  2. 申出人が相続人であることが分かる戸籍謄本等または法定相続情報一覧図の写しや法定相続情報番号(法定相続情報一覧図の写しの右上の番号)
  3. 申出人の住所を証する情報
  4. 委任状(代理人による場合のみ。複数の相続人が連名で申出する場合は不要)
  5. 被相続人の最後の氏名や住所が登記簿上の氏名・住所と異なる場合や、被相続人の本籍が登記簿上の住所と異なる場合は、被相続人の本籍に記載のある住民票の除票又は戸籍の表示の記載のある戸籍の附票の写し等

※1と2は、被相続人と申出人の関係により異なるので留意が必要。

※3は、申出書に住民票上の申出人の氏名のふりがな(外国籍の方はローマ字氏名)及び生年月日を記載することで提出を省略できます。(登記所において、住基ネットに紹介し、住所が合致しているか確認。)住民票に記載がない方(国内に住所がない方)は提出を省略できません。日本国籍の方は在外公館が発行する在留証明書等、外国籍の方は居住国の政府等が作成した住民票の写しに相当する書面等を提出する必要があります。

5.個別のケース

子が申出を行う場合の必要書類

  • 被相続人の死亡日が分かる戸籍謄本等
  • 申出人がその子であることが分かる戸籍謄本等
  • 被相続人の死亡日以後に発行された子の戸籍謄本等

配偶者が申出を行う場合の必要書類

  • 被相続人の死亡日が分かる戸籍謄本等
  • 申出人がその配偶者であることが分かる戸籍謄本等

配偶者と子(1人)が申出を行う場合の必要書類

  • 被相続人の死亡日が分かる戸籍謄本等
  • 申出人がその配偶者であることが分かる戸籍謄本等
  • 申出人がその子であることが分かる戸籍謄本等
  • 被相続人の死亡日以後に発行された子の戸籍謄本等

親が申出を行う場合の必要書類

  • 被相続人の死亡日が分かる戸籍謄本等
  • 申出人がその親であることが分かる戸籍謄本等
  • 被相続人に子がないことが分かる戸籍謄本等(出生から死亡まで)
  • 被相続人に子がいたが、被相続人の死亡前に死亡した場合は、その子に子がないことが分かる戸籍謄本等(その子の出生から死亡まで)
  • 被相続人の死亡日以後に発行された親の戸籍謄本等

兄弟姉妹が申出を行う場合の必要書類

  • 被相続人の死亡日が分かる戸籍謄本等
  • 被相続人に子がないことが分かる戸籍謄本等(出生から死亡まで)
  • 被相続人に子がいたが、被相続人の死亡前に死亡した場合は、その子に子がないことが分かる戸籍謄本等(その子の出生から死亡まで)
  • 被相続人の死亡前に被相続人の直系尊属(父母、祖父母等)が死亡していることが分かる戸籍謄本等
  • 被相続人の死亡日以後に発行された兄弟姉妹の戸籍謄本等

孫が申出を行う場合の必要書類

登記簿上の所有者Aが死亡し、その後、Aの子Bが死亡し、Bの子Cが所有権を取得した場合

  • Aの死亡日が分かる戸籍謄本等
  • BがAの配偶者であることが分かる戸籍謄本等
  • CがAの子であることが分かる戸籍謄本等
  • Bの死亡日が分かる戸籍謄本等
  • CがBの子であることが分かる戸籍謄本等
  • Bの死亡日後に発行されたCの戸籍謄本等

父に次いで母が亡くなった後、子が申出を行う場合の必要書類

登記簿上の所有者A(父)が死亡し、その後、Aの配偶者B(母)が死亡し、その子Cが所有権を取得した場合

  • Aの死亡日が分かる戸籍謄本等
  • BがAの子であることが分かる戸籍謄本等
  • Bの死亡日が分かる戸籍謄本等
  • CがBの子であることが分かる戸籍謄本等
  • Bの死亡日後に発行されたCの戸籍謄本等
  • 申出人がその配偶者であることが分かる戸籍謄本等

6.相続人申告登記の申出後の住所・氏名変更

相続人申告登記の完了後、申出人の住所等に変更があった場合には、その旨の申出をすることで、登記記録に変更を反映させることができます。なお、この手続きは、Webブラウザ上ではできません。

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