日本国籍を有しない外国人(無国籍者を含む)が日本に入国する場合、出入国港において、入国審査官に対し上陸の申請をして、上陸許可の認証を受けなければなりません。その際には、有効なパスポートで、原則、海外にある日本国大使館等で取得した査証(VISA)を受けたものを持参したうえで、行う必要があります。また、出国する場合は、出国の確認を受けなければなりません。

出入国在留管理制度について
目次
1.外国人の入国(上陸)審査手続き
2.在留資格認定証明書
3.在留審査
4.特例期間について
1.外国人の入国(上陸)審査手続き
入国(上陸)審査
入国審査官は、外国人から上陸の申請があり、当該外国人(特別永住者を除く)が個人識別情報(指紋及び顔写真)の提供義務を履行したときは(入管法6条3項)、当該外国人が上陸のための以下の条件(同7条1項)に適合しているかどうかを審査します。そして、適合していると認定したときは、在留資格・在留期間を決定し、パスポートに上陸許可の証印を行います。
| ① | 有効な旅券を所持すること |
| ② | 査証が免除されている場合を除き、当該旅券に有効な査証を受けていること |
| ③ | 本邦で行う予定と申請された活動が虚偽でなく、入管法別表に掲げる在留資格のいずれかに該当し、かつ、一部の在留資格については、上陸基準省令で定める上陸許可基準に適合すること |
| ④ | 申請された在留期間が法務省令の規定に適合すること |
| ⑤ | 上陸拒否事由に該当しないこと |
上陸審査時の個人識別情報(指紋及び顔写真)の提供は、2006年の入管法改正により義務付けられました(2007年11月20日施行)。
口頭審理
個人識別情報を提供しなかった場合、又は入国審査の結果、条件に適合していると認定されなかった場合は、特別審理官に引き渡され、口頭審理を受けることになります(入管法7条4項、9条6項、10条1項)。
その結果、特別審理官によって条件に適合していると認定された場合(入国審査官に個人識別情報を提供しないことにより特別審理官に引き渡された者については、個別識別情報提供義務免除対象者に該当すると認定された場合、又は特別審理官に対し個人識別情報を提供した場合に限る)には、直ちに上陸が許可されます(入管法10条8項)。
異議申出
条件に適合しないと認定された場合、これに服するか、不服を申し立てるか、どちらかを選択することとなります。これに服した場合、本邦からの退去命令が出されますが、不服を申し立てる場合、認定後3日以内に法務大臣に異議申出を行います(入管法10条11項、11条1項)。
なお、個人識別情報を提供しない者については、法務大臣の採決の手続きはなく、口頭審理において本邦からの退去を命ぜられます(入管法10条7項、10項、11項、11条1項)。
2.在留資格認定証明書
査証の発給
外国人は、原則、来日前に海外にある日本国大使館等(在外公館)で査証の発給を受けなければなりません。
在留資格認定証明書制度
短期滞在の在留資格に関するものなど在外公館限りで査証が発給されるものを除いては、在外公館で受理した査証申請書類が日本に送付され、国内で審査の上、査証を発給しても良いとの意見が回付されなければ査証が発給されないため、通常、申請から査証発給までに相当の日数を要することとなります。そこで、改正入管法により、入国審査手続きの簡易・迅速化を目的として在留資格認定証明書制度が設けられました。
この制度では、短期滞在及び永住者を除く在留資格で、外国人本人またはその代理人から予め日本国内で申請された場合に、その外国人に在留資格の該当性があるか、また一定の活動を行おうとする外国人については上陸許可基準への適合性が認められるか等、事前に審査を行い、在留資格該当性及び基準適合性があると認める場合は、その旨の証明書を交付し、その外国人はこれを提示または提出することによって速やかに査証発給および上陸許可を受けることができます(入管法7条の2)。全ての事前審査の手続きを日本国内で行うことから、書類の送付等に要する時間が大幅に省略され、手続が迅速に行われることとなりました。

図 出展:出入国在留管理庁HP 2021年版「出入国在留管理」資料
なお、在留資格認定証明書の発給を受けたときは、査証免除国であっても、査証申請が必要となります。
3.許可申請
許可申請
本邦に在留する外国人が、当初の在留目的とは異なる新たな目的のために在留することや、当初与えられた在留期間を超えて引き続き在留することを希望する場合等には、入管法に基づき申請を行い、所定の許可を得る必要があります。
許可の種類には、以下のものがあります。
| 1 | 在留資格の変更許可 | 法務大臣※1 |
| 2 | 在留期間の更新許可 | 法務大臣※1 |
| 3 | 永住許可 | 法務大臣※1 |
| 4 | 在留資格の取得許可 | 法務大臣※1 |
| 5 | 再入国許可 | 出入国在留管理庁長官※2 |
| 6 | 資格外活動の許可 | 出入国在留管理庁長官※2 |
※1 法務大臣から委任を受けた出入国在留管理庁長官または出入国在留管理庁長官から委任を受けた地方出入国在留管理局長(入管法69条の2 1項)
※2 出入国在留管理庁長官から委任を受けた地方出入国在留管理局長(入管法69条の2 2項)
1 在留資格の変更許可
在留目的である活動の変更を希望する場合、新たな活動を行う前に在留資格変更許可申請を行い、新たな活動に対応する在留資格への変更の許可を受ける必要があります(入管法20条)。
2 在留期間の更新許可
現に有する在留資格を変更することなく、在留期限到来後も引き続き滞在することを希望する場合には、在留期限までに在留期間更新許可申請を行い、在留期間の更新許可を受ける必要があります(入管法21条)。
3 永住許可
他の在留資格で本邦に在留する外国人からの永住許可申請および出生や日本国籍離脱を理由とした在留資格の取得許可申請に対し、一定の条件を満たすと認められる場合に許可されます(入管法22条)。
4 在留資格の取得許可
日本で出生したり、日本国籍を離脱したりして外国籍となった者や、在留資格を要しないとされている日米地位協定1条に規定する米軍人等でその身分を失った外国人が、当該事由が生じた日から60日を超えて引き続き本邦に在留しようとする場合には、当該事由が生じた日から30日以内に、在留資格取得許可申請を行い、在留資格の取得許可を受ける必要があります(入管法22条の2)。
5 再入国許可
本邦に在留する外国人が一時的に出国し、再び我が国入国しようとする場合、事前に再入国許可を受けることによって、改めて査証申請等の手続をすることなく、現に有する在留資格および在留期間のまま出入国することができます(入管法26条)。
なお、2012年7月9日から、以下の場合については、原則として予め再入国の許可を受けることは不要とされています(入管法26条の2、入管特例法23条)。
| 中長期在留者 | 有効な旅券および在留カードを所持し、出国後1年以内に再入国する場合 |
| 特別永住者 | 有効な旅券および特別永住者証明書を所持し、出国後2年以内に再入国する場合 |
さらに、以下の場合も、原則として予め再入国の許可を受けることは不要とされています(入管法26条の3)。
| 2015年1月1日から | 短期滞在の在留資格を与えられて入国した外国人が、本邦から他国に渡って我が国にに戻る航路のクルーズ船(指定旅客船)で出国後、15日以内に当該指定旅客船により再入国する場合 |
また、2016年4月1日から、出国の際に提出を求めていた外国人出国記録について、外国人から提示される旅券等によって同一人性等の確認を行うことが可能であることを踏まえ、再入国予定者等を除き、当該書面の提出を不要とされています(入管法施行規則27条等)。
6 資格外活動の許可
在留資格を付与されている外国人は、その在留資格に対応する活動以外の活動で「収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動」(就労活動)を行う場合は、予め資格外活動の許可を受ける必要があります。
その活動が本来の在留目的である活動の遂行を阻害しない範囲内で行われると認められるときに限り許可されます(入管法19条2項)。
なお、2012年7月9日からは、上陸審査時に在留資格「留学」を決定された者(「3月」の在留資格が決定された者および再入国許可による入国者を除く)は、上陸の許可に引き続いてその場で資格外活動許可の申請を行うことが可能となりました。
4.特例期間について
在留資格変更・在留期間更新許可申請をした場合において、その申請に対する処分が在留期間の満了日までに行われないときは、不法滞在にならないか心配になります。
この場合、在留期間の満了日から2か月を経過する時または処分がされる時のいずれか早い時までの間、引き続き従前の在留資格で本邦に在留することができます(入管法20条6項)。
処分が行われないまま在留期間の満了日から2か月を経過した時は、本邦に滞在することができなくなるので注意が必要です。
なお、30日以下の在留期間を決定されている者については、この特例の対象外となり、猶予期間がありませんのでご留意ください。
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