株式会社の継続の登記

株式会社は一定の場合に解散します。解散した場合は、解散登記を申請し、官報報告を掲載し、法定期間経過後に清算結了登記を申請することとなりますが、一定の場合は、継続することができます。本日は、株式会社の継続の登記についてみてみましょう。

株式会社の継続の登記

目次

1.株式会社が継続できるときとは

2.会社継続の登記

3.みなし解散の登記がされてしまったら

4.さいごに

1.株式会社が継続できるときとは

株式会社は、次の事由により解散した場合、清算が結了するまでは、株主総会の決議によって、株式会社を継続することができます(会社法473条)。

471条1号による場合定款で定めた存続期間の満了
471条2号による場合定款で定めた解散の事由の発生
471条3号による場合定款で定めた解散の事由の発生
472条による場合解散したとみなされたとき 

※ なお、会社法472条により「解散したものとみなされた場合」については、3年以内に限り、継続することができることに注意が必要です。

会社法
(株式会社の継続)
473条 株式会社は、471条1号から3号までに掲げる事由によって解散した場合(前条1項の規定により解散したものとみなされた場合を含む。)には、次章の規定による清算が結了するまで(同項の規定により解散したものとみなされた場合にあっては、解散したものとみなされた後3年以内に限る。)、株主総会の決議によって、株式会社を継続することができる。

2.会社継続の登記

解散した株式会社を継続する旨の株主総会の決議がなされたときは、2週間以内に、会社継続の登記を申請する必要があります(会社法927条)。

株式会社は解散により、取締役等が退任するため、会社継続の登記と併せて、取締役、代表取締役、その他設置する機関に関する登記をする必要があります。

つまり、株式会社の継続に関する株主総会決議の際に、取締役等、設置する機関の選任決議を行う必要があります。

株式会社継続登記(抜粋)

登記の事由会社継続
取締役,代表取締役就任
取締役会設置会社の定めの設定(取締役会を設置する場合)
登記すべき事項「会社継続」
令和〇年〇月〇日会社継続
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」〇〇〇〇
「原因年月日」令和〇年〇月〇日就任
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」〇〇〇〇
「原因年月日」令和〇年〇月〇日就任
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」〇〇〇〇
「原因年月日」令和〇年〇月〇日就任
「役員に関する事項」
「資格」代表取締役
「住所」〇〇〇〇
「氏名」〇〇〇〇
「原因年月日」令和〇年〇月〇日就任
「役員に関する事項」
「取締役会設置会社に関する事項」
取締役会設置会社
「原因年月日」令和〇年〇月〇日設定(取締役会を設置する場合)
添付書類株主総会議事録
株主リスト
取締役会議事録
就任承諾書
印鑑証明書
委任状 (代理人に委任した場合)
登録免許税金90,000円(or 70,000円)

この内訳は:
・会社継続の登記:30,000円
・役員変更の登記:30,000円(or 10,000円 資本金の額が1億円以下の場合)
・取締役会設置会社の定めの設定:30,000円(取締役会を設置する場合)
申請代表取締役が申請します。

3.みなし解散の登記がされてしまったら

そんなつもりはなくても、長期間登記をしなかったことにより休眠会社となり、法務局からの通知に対し期限内に届出等をしなかったときは、解散したものとみなされ、登記官の職権で解散の登記がされることがあります(会社法472条、みなし解散の登記)。

みなし解散登記がされてしまったときにおいて、会社を継続していく意思が無いときは清算結了の手続、これからも会社を継続していく場合は、3年以内に、上記のように会社継続の手続をとることとなります。 

4.さいごに

解散登記がされた後、会社を継続する場合は、清算人選任の登記、会社継続の登記をしなければならず、その分の登録免許税も支払うことになります。

特に取締役や監査役の任期が10年の株式会社は、登記申請の時期を失念しがちとなるおそれがございますので、ご留意くださいませ。

ご相談は、こちらまでご連絡くださいませ。

この記事は、記載時点の情報に基づいています。必ず最新の法令を確認をご確認ください。