外国人登録原票に係る開示請求について


  

1.所有権登記名義人住所変更

不動産を売買した場合、所有権移転登記の手続きが必要となります。

不動産の売主の住所について、登記簿に記載された住所から変更が生じている場合、

売買による所有権移転登記手続きの前提として、所有権登記名義人の住所変更登記が

必要となります。例を見てみましょう。


例① 

売主Aさんが、買主Bさんに、土地と建物を売却しました。

登記簿に記載されているAさんの住所は、東京都新宿区新宿1‐1‐1ですが、

その後引っ越しをして、現在の住所は、東京都渋谷区2‐2‐2です。

この場合、A➡Bへ、土地と建物の所有権を移転する登記申請の前提として、

Aの登記上の住所(新宿区)を現住所(渋谷区)に変更する、所有権登記名義人

住所変更の登記が必要となります。 

例② 

売主Aさんが、買主Bさんに、土地と建物を売却しました。

登記簿に記載されているAさんの住所は、東京都新宿区新宿1‐1‐1ですが、その後、

東京都渋谷区2‐2‐2に引っ越しをし、さらに、埼玉県さいたま市3‐3‐3に引っ越しを

しました。

この場合、A➡Bへ、土地と建物の所有権を移転する登記申請の前提として、

Aの登記上の住所を現在の住所(さいたま市)に変更する、所有権登記名義人住所

変更の登記が必要となることに変わりはありません。

ただ、上記①と異なるのは、登記申請時の添付書類です。

①では、現在の住所地の住民票の写し(原本)を添付すればOKです。

②では、現在の住所地である埼玉の住民票の写し(原本)だけは足らず、

途中の住所地である渋谷区の住民票の除票等も必要となります。

すなわち、登記簿に記載された住所から、現在の住所まで、つながりが確認できる

住民票の写し等の証明書が必要になるということです。 

2.外国人の方の売買の場合の注意点

不動産の売主が外国人の方の場合で、平成24年7月8日以前の住所移転の場合、以下が必要になります。

・外国人登録原票記載事項証明書

これは、平成24年7月8日以前は、外国人は住民登録がされなかったため、住所が住民票には記載されず、確認することができないためです。それに代わるものとして、外国人登録原票記載事項証明書を提出することができます。

なお、平成24年7月9日、新たな在留管理制度が導入されたことに伴い、外国人登録制度は廃止され、外国人登録原票は、特定の個人を識別することができる個人情報として、出入国在留管理庁において管理されることとなりました。

自分の外国人登録原票を確認したい、写しの交付を希望する場合、開示請求を行う必要があります。 

3.開示請求できる方は?

当該外国人登録原票に記録された個人情報の

(1) 本人

(2) 本人が未成年者又は成年被後見人の場合は、その法定代理人(親権者、成年後見人)

(3) 任意代理人

4.開示請求ができる対象は?

(1) 開示請求者本人の外国人登録原票

(2) 開示請求者以外の者の外国人登録原票

※ 但し、(2)は、「開示請求者以外の者の外国人登録原票に記録されている開示請求者              本人の個人情報」の請求となることから、原則、開示請求者以外の個人情報は開示されません(開示請求者が慣行として知っている又は知ることができる情報等は除く)。

5.外国人登録原票に記録されている個人情報は?

外国人登録原票に記載されている個人情報は、平成24年7月9日の外国人登録法廃止以前に、市区町村に登録の申請をしていた下記の個人情報が記載されています。

ただし、外国人登録原票の様式や登録事項は、これまで累次の改正がなされていることから、必ずしもこれら全ての個人情報が記載されているとは限らないとされています。

(1)氏名、(2)性別、(3)生年月日、(4)国籍、(5)職業、(6)旅券番号、(7)旅券発行年月日、(8)登録の年月日、(9)登録番号、(10)上陸許可年月日、(11)在留の資格、(12)在留期間、(13)出生地、(14)国籍の属する国における住所又は居所、(15)居住地、(16)世帯主の氏名、(17)世帯主との続柄、(18)勤務所又は事務所の名称及び所在地、(19)世帯主である場合の世帯を構成する者(世帯主との続柄、氏名、生年月日、国籍)、(20)本邦にある父・母・配偶者((19)に記載されている者を除く。氏名、生年月日、国籍)、(21)署名、(22)写真、(23)変更登録の内容、(24)訂正事項

※平成24年7月8日以前に、市区町村において登録原票の記載事項について変更の登録を申請されている場合、その履歴(氏名、国籍、職業、在留の資格、在留期間、世帯主の氏名、続柄、居住地等)についても記載されています。

6.開示の方法

開示の方法として、請求者本人が出入国在留管理庁に来庁して、外国人登録原票を閲覧又はその写しの交付等を希望するか、郵送等によって外国人登録原票の写しの送付を希望することができます。

7.手数料

手数料として、1件300円分の収入印紙を請求書に貼付する必要があります。

8.本人確認書類の提出等

本人確認ができる書類の提出が必要です。

※本人確認書類の例:運転免許証、住民票の写し(30日以内)、在留証明書、居住証明書等
※帰化等の理由により、現在の氏名、国籍や生年月日と請求期間時の氏名、国籍や生年月日が異なる場合には、その経緯が分かるもの(戸籍抄本など)の添付が必要です。

9.開示決定等に要する期間

法律により開示請求があった日から30日以内にすることとされています。
不動産決済等の場合は、早めに請求されることをお勧めします。。
実際の開示決定等までの期間は、案件ごとに相違するため注意が必要です。

10.開示請求書等の提出先

開示請求書及び本人確認書類は、下記宛に提出(又は送付)する必要があります。


提出先:出入国在留管理庁総務課情報システム管理室出入国情報開示係
所在地:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-6-1 四谷タワー13F
受付時間:午前9時から午後5時まで(土・日・祝・年末年始は休庁)

詳細は「出入国在留管理庁ホームページ」をご確認ください。


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