株式会社や一般社団法人等は、登記した事項に変更が生じたときは、変更登記を申請する必要があります。この変更登記をしないまま長期間経過すると、休眠会社とされ、解散したものとみなされることがあります。本日は休眠会社について見てみましょう。

休眠会社について
目次
1.会社等には登記義務があります
2.休眠会社とは
3.休眠会社のみなし解散
4.法務大臣による公告と登記所からの通知
5.「まだ事業を廃止していない」旨の届出
6.みなし解散の登記がされてしまったら
1.会社等には登記義務があります
まず、前提から見てみましょう。
株式会社や一般社団法人等は、登記した事項に変更が生じたときは、2週間以内に、本店又は主たる事務所の所在地において、変更の登記をする必要があります(会社法915条第1項、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法人法」)303条)。
この登記を怠ったときは、登記の申請を怠った代表者等は裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があるので注意が必要です(会社法976条第1号、一般法人法342条1号)。
2.休眠会社とは
休眠会社とは、最後の登記から12年を経過している株式会社のことをいいます。(会社法472条)
特例有限会社は含まれません。
一般社団法人および一般財団法人については、最後の登記から5年を経過している場合、休眠一般法人となります(一般法人法149条、203条)。これには、公益社団法人又は公益財団法人も含まれます。
3.休眠会社のみなし解散
この休眠会社に該当した場合、解散したものとみなされる可能性があります。
法務局では、毎年、休眠会社・休眠一般法人の整理作業を行っており、毎年10月頃、法務大臣による官報公告が行われ、休眠会社または休眠一般法人に対して、登記所から通知書が送付されます。
この公告から2か月以内に役員変更等の必要な登記または「まだ事業を廃止していない」旨の届出がされないときには、その2か月の期間の満了の時に解散したものとみなされ、実際には事業を継続していたとしても、登記官により職権で解散の登記がされます(会社法472条)。この登記を、みなし解散の登記と言います。
この休眠会社・休眠一般法人の整理作業は、平成26年から実施されています。
| 会社法 (休眠会社のみなし解散) 第四百七十二条 会社は、法務大臣が休眠会社(株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から十二年を経過したものをいう。以下この条において同じ。)に対し二箇月以内に法務省令で定めるところによりその本店の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合において、その届出をしないときは、その二箇月の期間の満了の時に、解散したものとみなす。ただし、当該期間内に当該休眠会社に関する登記がされたときは、この限りでない。 2 登記所は、前項の規定による公告があったときは、休眠会社に対し、その旨の通知を発しなければならない。 |
必要な登記についてご相談は、こちらまでご連絡くださいませ。
4.法務大臣による公告と登記所からの通知
毎年1回、法務大臣による官報公告(休眠会社又は休眠一般法人は、公告から2か月以内に必要な登記をせず、「まだ事業を廃止していない」旨の届出もされないときは、解散したものとみなされる旨の公告)が行われます。また、対象となる休眠会社・休眠一般法人に対して、管轄の登記所から、法務大臣による公告が行われた旨の通知が送付されます。
なお、登記所からの通知が何らかの理由で届かない場合であっても、公告から2か月以内に必要な登記申請または「まだ事業を廃止していない」旨の届出を行わないときは、みなし解散の登記をする手続が進められますので、注意が必要です。
5.「まだ事業を廃止していない」旨の届出
この「まだ事業を廃止していない」旨の届出をする際は、登記所からの通知書の下段にある「届出書」に所定の事項を記載し、登記所に送付または持参します。代理人によって届出をするときは、委任状の添付が必要です。
通知書を利用できない場合には、書面に以下の事項を記載し提出します。
【届出書に記載すべき事項】(会社法施行規則139条、一般法人法施行規則57条または65条)
| 1 | 休眠会社の場合(株式会社等):商号、本店、代表者の氏名及び住所 休眠一般法人の場合:名称、主たる事務所、代表者の氏名及び住所 |
| 2 | 代理人によって届出をするときは、その氏名及び住所 |
| 3 | まだ事業を廃止していない旨 |
| 4 | 届出の年月日 |
| 5 | 登記所の表示 |
※不備があると、適式な届出として認められないことがありますので、ご留意ください。
※「まだ事業を廃止していない」旨の届出をした場合であっても、必要な登記申請を行わない限り、翌年も「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」の対象となりますのでご留意ください。
なお、この届出又は必要な登記申請がされた場合であっても、それ以前の登記懈怠については、裁判所から過料に処せられる可能性があります(会社法915条1項、976条1号、一般法人法303条、342条1号)。
6.みなし解散の登記がされてしまったら
みなし解散の登記がされた後でも、3年以内であれば、会社・法人を継続することができます。
継続する場合、以下が必要となります。
| 株式会社 | 株主総会の特別決議 |
| 一般社団法人または一般財団法人 | 社員総会の特別決議または評議員会の特別決議 |
| 会社法 (株式会社の継続) 第473条 株式会社は、第471条第1号から第3号までに掲げる事由によって解散した場合(前条第1項の規定により解散したものとみなされた場合を含む。)には、次章の規定による清算が結了するまで(同項の規定により解散したものとみなされた場合にあっては、解散したものとみなされた後3年以内に限る。)、株主総会の決議によって、株式会社を継続することができる。 |
会社・法人を継続したときは、その決議から2週間以内に、継続の登記の申請をする必要があります。
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