土地や建物を売買したときや相続したときは、所有権の移転登記が必要となります。
また、建物を新築したときは、所有権の保存登記が必要となります。
グローバル化が進み、外国人の方や日本人でも日本に住所がない方が、当事者となる売買や相続も増えてまいりました。
今回は、外国人の方や日本に住所がない方が当事者となる場合の、所有権移転の登記申請に必要となる書類(または情報)についてみていきたいと思います。

外国人の不動産登記
目次
1.住所証明情報
2.印鑑証明情報
3.所有者の住所変更を証する書面
1.住所証明情報
所有権移転登記や所有権保存登記を法務局に申請する際には、買主や相続人など、登記の権利者となる方の住所を証明する情報(住所証明情報)を添付することが必要です。
この住所証明情報の代表例として、「住民票の写し」が挙げられますが、日本に住所がない方は、これに代わる書類を提出する必要があります。
以下、ケースごとの住所証明情報の例となります。

※1 日本に住所がない外国人は、原則、自国(自分の国籍がある国)の官憲が発行する宣誓供述書を住所証明書とすることができます(昭和40年6月18日民事甲第1096号民事局長回答)。
自国の公証人の面前で宣誓し作成する宣誓供述書(AFFIDAVIT)等が該当します。
(これ以外の外国政府発行の公的書面を住所証明情報として使用することができる場合もあります。)
2.印鑑証明情報
売買を原因とする所有権移転登記を法務局に申請する際には、登記義務者となる売主の印鑑証明情報を添付する必要があります。
市区町村長が発行する「印鑑証明書」が該当しますが、日本に住所がない方は、これに代わる書類を提出する必要があります。
以下、ケースごとの印鑑証明情報の例となります。

※2 日本に住所がない日本人は、外国にある日本領事館が発行する署名証明書を印鑑証明書の代わりに提出することができます(昭和29年9月14日民事甲第1868号民事局長回答)。
通常、登記義務者の印鑑証明書は、発行から3か月以内であることが必要ですが、この署名証明書には有効期限はありません。
なお、領事館によっては、印鑑証明書を作成してくれる場合もがありますが、その場合は発行から3か月以内であることが必要です(昭和48条11月17日民事三第8525号民事局第三課長通知)。
※3 日本に住所がない外国人は、原則、自国(自分の国籍がある国)の官憲が発行する宣誓供述書をもって、印鑑証明書に代えることができます(昭和59年8月6日民事三第3992号民事局第三課長依命通知参照)。
自国の公証人の面前で宣誓し作成される宣誓供述書(AFFIDAVIT)等が該当します。なお、本人の署名に関する宣誓供述書であることが必要です。
3.所有者の住所変更を証する書面
所有者が住所を変更したときは、所有権登記名義人の住所変更登記が必要となります。
この登記申請の際には、登記原因証明情報として、住所変更があったことを証する書面を添付する必要があります。
以下、ケースごとの登記原因証明情報の例となります。

※4 日本人が外国で複数回住所移転している場合については、日本領事館より、過去の複数の住所を証明する在留証明書を発行してもらい取得します。
※5 平成24年7月8日以前の日本国内での住所移転については、法務省に対して本人の申請により情報開示請求をすることで、外国人登録原票記載事項証明書の交付を受けることができます。
外国人登録原票記載事項証明書についてはこちらをご覧ください。
※6 昭和40年6月18日民事甲第1069号民事局長回答
なお、外国人の場合は戸籍がなく、戸籍の附票は取得できないため、住民票の除票を取得することとなります。
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