日常生活自立支援事業

高齢化が進み、認知機能に不安を覚える方、またそのご家族の方からご相談をいただくことがあります。

実際に身の回りで認知症になられたご家族がいらっしゃる場合、どうしていいかわからないことも多くあると思います。認知症と診断された場合、どうすればいいのでしょうか。

そのような場合に利用できる制度として、成年後見制度があります。(成年後見制度については、こちらをご参照ください。)この制度について、耳にしたことがあるという方もいらっしゃると思います。成年後見や保佐、補助、それ以外にも利用できる制度があるのはご存じでしょうか。本日はその一つ、日常生活自立支援事業についてみてみましょう。


日常生活自立支援事業

目次

1.日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)とは

2.利用できる方

3.費用について

4.手続の流れ


1.日常生活自立支援事業とは

日常生活自立支援事業とは、各都道府県の社会福祉協議会が実施している事業です。

判断能力が十分でなくなった場合においても、自立した生活が送れるよう、契約に基づいて福祉サービスの利用援助等を行うものです。

援助内容の例として、以下などが挙げられ、契約の中で定めることができます。

・福祉サービスの利用援助

・居住家屋の改修や賃貸借の援助

・定期訪問による見守り

・行政手続の利用の援助(住民票の届出など)

・預金の払い戻し、解約、預け入れ等

・日常生活の金銭管理

・重要書類の預かり 

2.利用できる方

この事業を利用できるのは、以下のいずれにも該当する方となります。

  • 判断能力が不十分な方(認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等であって、日常生活を営むのに必要なサービスを利用するための情報の入手、理解、判断、意思表示を本人のみでは適切に行うことが困難な方)
  • この事業の契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる方

3.費用について

この制度を利用した場合、費用はどの程度になるのでしょうか。

社会福祉協議会によって異なるため、事前に確認が必要ですが、例えば訪問1回あたり1,200円が平均利用料と言われています。なお、契約締結前の相談については費用はかかりません。また、生活保護受給世帯の利用料はかかりません。 

4.手続の流れ

  • 利用を希望する方は、実施している協議会に対して申請(相談)を行います。
  • 利用を希望される方の生活状況や希望する援助内容の確認、及び この事業の契約内容について判断し得る能力の判定が行われます。
  • この事業の対象者の要件に該当すると判断された場合には、希望者の意向を確認しつつ、援助内容や実施頻度等の具体的な支援を決める「支援計画」を策定し、契約が締結されます。
  • 支援計画は、利用者の必要とする援助内容や判断能力の変化等利用者の状況を踏まえ、定期的に見直されます。
  • 契約内容や本人の判断能力等の確認を行う「契約締結審査会」及び適性な運営を確保するための監督を行う第三者的機関である「運営適正化委員会」を設置することにより、契約による事業の信頼性や的確性を高め、利用者が安心して利用できる仕組みとなっています。

成年後見制度、保佐・補助制度の利用は裁判所への申立てが必要です。これらの制度の他にも、日常生活自立支援事業の存在を知っておくと、利用できる制度の幅や選択肢が広がるかもしれません。

成年後見制度についてのご相談は、こちらまでご連絡ください。