外国会社の登記について

外国会社が日本において継続して取引をしようとするときは、日本において外国会社の登記をすることが必要です。これを怠ると最大100万円の過料に処せられます。本日は、外国会社の登記について触れたいと思います。

外国会社の登記について

目次

1.外国会社とは

2.日本における代表者

3.外国会社の登記義務

4.外国会社の登記すべき事項

5.外国会社の登記申請

1.外国会社とは

外国会社とは、外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のもの又は会社に類似するものをいいます(会社法2条2号)。


外国会社が日本において継続して取引をしようとするときは、日本における代表者を定め(同817条1項)、外国会社の登記をすることが必要です。

外国会社の登記をするまで、外国会社は、日本において取引を継続してすることができないので、注意が必要です(同818条1項)。

2.日本における代表者

外国会社は、日本において取引を継続してしようとするときは、日本における代表者を定めなければなりません(同817条1項)。この場合において、その日本における代表者のうち1人以上は、日本に住所を有する者でなければなりません(同条同項)。

この点、株式会社の代表取締役その他の取締役が、日本に住所を有しない者でも就任できる点と異なるので注意が必要です。

外国会社の日本における代表者は、当該外国会社の日本における業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有します(同条2項)。

3.外国会社の登記義務

(1)外国会社には登記義務があります

外国会社は、日本における代表者を定めた日から3週間以内に、外国会社の登記の申請をしなければなりません(同933条1項)。

日本における代表者が外国で選任された場合には、この登記の期間は、その通知が日本における代表者に到達した日から起算します(同条第5項)。

(2)この義務に違反した場合

日本で継続して取引をしようとする外国会社がその登記を怠った場合は、外国会社の日本における代表者は、100万円以下の過料に処されることがあるので注意が必要です(同976条1号)。

また、外国会社の登記をせずに日本において継続して取引をした者には、登録免許税の額に相当する過料に処されることがあります(同979条1項、2項)。 

4.外国会社の登記すべき事項

外国会社の登記においては、日本における同種の会社又は最も類似する会社の種類に従い、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の設立の登記事項等、以下の事項を登記する必要があります(同933条2項)。

登記すべき事項(同933条2項)

1会社法第911条第3項各号又は第912条から第914条までの各号に掲げる事項
2外国会社の設立の準拠法
3日本における代表者の氏名及び住所
 ※ 日本における代表者として、法人を登記することもできます
 ※日本における代表者として弁護士等を定めた場合、
その住所として、当該弁護士等の事務所の所在場所を登記することもできます。
4日本における同種の会社又は最も類似する会社が株式会社であるときは、
準拠法の規定による公告方法
5上記4の場合において、貸借対照表を電磁的方法により開示するときは、
貸借対照表の内容である情報が掲載されているウェブページのアドレス
6公告方法についての定めがあるときは、その定め
7電子公告を公告方法とするときは、電子公告により公告すべき内容である
情報が掲載されているウェブページのアドレス等
8公告方法の定めがないときは、官報に掲載する方法を公告方法とする旨

5.外国会社の登記申請

(1)登記申請の申請人

日本における代表者が当該外国会社を代表して申請人となります(商業登記法128条)。

なお、日本における代表者が外国人である場合には、記名押印に代えて署名すれば足りますが、署名が本人のものであることの本国官憲の証明書(サイン証明書)の添付が必要となります。

(2)外国会社の登記申請特有の申請書記載事項

株式会社の登記申請書の記載事項に加え、外国会社特有の申請書記載事項は以下のとおりです(商業登記法17条2項、商業登記規則93条)。

 登記すべき事項につき官庁の許可を要するときは、許可書の到達した年月日
 外国において生じた事項の登記を申請するときは、その通知書の到達した年月日

(3)添付書面

外国会社の登記申請の添付書類は以下のとおりです(商業登記法129条1項、2項、18条)。

1本店の存在を認めるに足りる書面
2日本における代表者の資格を証する書面
3外国会社の定款その他外国会社の性質を識別するに足りる書面
4公告方法についての定めがあるときは、これを証する書面
5日本における代表者が法人の場合は、当該法人の作成後3月以内の登記事項証明書
(但し、当該法人の本店若しくは主たる事務所の所在地を管轄する登記所に申請するとき又は申請書に会社法人等番号を記載したときは添付を省略できます)
6日本における代表者として弁護士等を定め、その住所として当該弁護士等の事務所の所在場所を登記するときは、同一人であることを確認できる書面
7代理人によって登記を申請するときは、その権限を証する書面

※ 上記1~4の書類は、外国会社の本国の管轄官庁又は日本における領事その他権限がある官憲の認証を受けたものである必要があります。

※ 書類が外国語で作成されている場合は、その訳文を添付する必要があります。

(4)管轄登記所

日本に営業所を設置した場合 当該営業所の所在地を管轄する登記所
日本に営業所を設置しない場合 日本における代表者の住所地を管轄する登記所

(5)登録免許税

日本に営業所を設置した場合 営業所1か所につき 9万円
日本に営業所を設置しない場合 6万円

変更となることがございますので、登記申請の際は、管轄法務局にご確認されることをお勧めいたします。

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