会社法改正~支店の所在地における登記の廃止

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1.会社法改正の目的

 会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)が、令和元(2019)年12 月4日に成立し、同月 11 日に公布され、令和3(2021)年3月1日から施行されました。

 この改正の目的は、会社をめぐる社会経済情勢の変化に鑑み、株主総会の運営及び取締役の職務の執行の一層の適正化等を図るためとされています。これにより、日本企業のコーポレート・ガバナンスの向上、日本企業の競争力、日本企業に対する内外の投資家の信頼が更に高まり、日本経済の成長につながることが期待されています。

 この改正の中で、株主総会資料の電子提供制度の創設支店の所在地における登記の廃止については、これまで施行されていませんでしたが、令和4(2022)年9月1日の施行が予定されています。

 今回は、支店の所在地における登記の廃止についてみてみましょう。

2.支店の所在地における登記の廃止

 この改正により、会社法から930条から932条「第二款 支店の所在地における登記」が削除されました。

 現状、支店の所在地における登記の登記事項は、①商号、②本店所在地、③支店(その所在地を管轄する登記所の管轄区域内にあるものに限る)の所在場所会社(同930条2項)、④成立の年月日、の4つです。

 これらに変更が生じたときは、3週間以内に、支店の所在地において変更の登記をしなければなりませんでしたが(同930条3項)、施行日以後は、支店の所在地において、登記を行う必要がなくなります。

 なお、支店については、本店所在地における登記の登記事項として記録されますので、支店を設置、変更或いは廃止した場合、本店所在地における登記において「支店の所在場所」を登記することになります(同915条)。また、支配人の登記はすべて本店の所在地の登記に記録されています(同918条)。


 以前、商号変更、本店移転、複数の支店移転・廃止が絡む登記を、本支店一括申請を交えながら申請したことがありました。複雑な登記申請だったので、無事補正もなく登記完了したときは安堵したのを覚えています。改正法施行後は、そのような登記申請の機会もなくなると思うと、少々寂しいような思いもございますが、オンライン化が進み、どこにいても登記簿を取得できるようになった今、支店所在地における登記を利用する機会は極めて少なくなったことを鑑みると、この改正の趣旨についても理解できますね。一方で、株主総会資料の電子提供制度の創設により、登記事項が増える企業様もいらっしゃいますので、次回はその点について見ていきたいと思います。


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