後見制度①~法定後見~について

高齢化が進み、テレビや新聞、ウェブなどでも「後見制度」という言葉を耳にされる機会も増えたかと思います。今回は、後見制度、特に法定後見について見ていきたいと思います。長くなりますので、数回に分けて投稿いたします。今回はパート①です。


後見制度<法定後見>について

目次

1.後見制度とは

2.法定後見とは

 2-1.成年後見

 2-2.保  佐

 2-3.補  助

3.どこに申立てればよいか

  

1.後見制度とは

成年者に関する後見制度には大きく、法定後見と任意後見があります。

法定後見とは、認知症になられたり、判断能力が低下した際に利用する制度です。

一方で、任意後見とは、認知症になったりする前、すなわち、判断能力があるうちに準備しておく制度ということになります。

法定後見は家庭裁判所に申立てをして審判があったときに開始するのに対し、任意後見は公正証書を作成して契約を締結しておき、いざ判断能力が低下したときに後見が開始することになります。 

2.法定後見とは

法定後見には、成年後見、保佐、補助の3つの種類があります。判断能力の程度により利用する制度が異なります。

2-1.成年後見 

対  象精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者
(判断能力がほとんどない方)(民法7条)
申立てできる人本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、
保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官(同条)
権  限代理権(同824条)、取消権(同9条)

2-2. 保佐

対  象精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者
(判断能力が著しく低い方)(同11条)
申立てできる人本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、
補助監督人又は検察官(同条)
権  限一定の重要行為の同意権※(同13条1項)、取消権(同条4項)、
家庭裁判所の特定の法律行為の代理権(同876条の4)

※ 保佐人の同意を要する行為等

(1) 元本を領収し、又は利用すること

(2) 借財又は保証をすること

(3) 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為

(4) 訴訟行為

(5) 贈与、和解又は仲裁合意

(6) 相続の承認、放棄、遺産の分割

(7) 贈与の申込みの拒絶、遺贈の放棄、負担付贈与の申込みの承諾、負担付遺贈の承認

(8) 新築、改築、増築又は大修繕

(9) 602条に定める期間を超える賃貸借をすること。

(10) 前各号に掲げる行為を制限行為能力者の法定代理人としてすること

 但し、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、同意権はありません。

上記以外でも、家庭裁判所に請求し、審判があった場合は、保佐人の同意を得ることとすることができます。(同13条2項)

2-3.補助

対  象精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者(同15条)
申立てできる人本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、
保佐監督人又は検察官(同条)
権  限一部の行為について同意権(同17条1項)、取消権※(同条4項)
特定の行為について代理権(同876条の9)

※ 補助人の同意権・取消権は、上記民法13条1項の行為の一部に限られます。

※ 本人以外の請求により補助開始の審判をするには本人の同意が必要です。

※ 補助開始の申立てと共に、同意権・代理権付与の申立てをする必要があります。

3.どこに申立てればよいか

法定後見の申立ては、本人の住所地(住民登録をしている地)を管轄する家庭裁判所にする必要があります(家事事件手続法117条)。


後見制度についてのご相談は、こちらまでご連絡ください。

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